2008年9月3日水曜日

引退。

みなさん、おはよーさん。

おいらはオイラー

e^ix=cosx+isinx

マクローリン展開ってナヌ?(’’



ご無沙汰しております。
ゴブゴブ言ってすいません、自爆しますね(ォイ
スタンで止められたらしいのでナシ。


他ゲームに浮気してみたり、
本気でMHFで効率狩りしてみたり、
まー、本域で忙しい(暇じゃない

そんなわけで
気が向いたから書いてみる(´ー`)

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ふと思い出す光景がある。

渋滞する道路にウンザリしながら煙草に火をつけるとき。
ウィスキーグラスの中で氷がカラリと音を立てるとき。
そんな何ということのない日常の中に
その光景は突如として蘇るのだ。

小さな波を立てる水面。
反射した日差しが、見るからに重そうな大振りで
使い込まれた大剣から発した光が
彼の顔にきらきらと映し出される。
彼の隣には彼の横顔を見つめる私がいた。

感傷とは違う。
それは、もっとリアルな感覚だ。
あえて言葉に直せと言われれば、
私は「追悼」という言葉を選ぶだろう。
懐かしむのでも、慈しむのでもなく、私は悼むのだ。
その時の私を、その時の彼を、
そのとき私たちが持っていた何かを。

私は心から悼む。





その年の夏が始まる頃、
私は、少しばかり疲れていた。
慌しい毎日と、長年に渡って経験してきた
すべての出来事、いや、人生に於ける多くの災難
または、不自由さにとでも言うべきものに。

その日は、いつも以上にハードな一日だった。
ただただ疲弊した体を引きずりながら帰宅し
思いのほか時間があることを呪いながら
いつも通り、酒と肴で喉と腹を満たした。

そして、無為に浪費していく時間と金を
惜しいとさえ思わずにいたときに
ふと目に付いたサイト・・・。

これなら少しは暇つぶしできるか。

そう、ただの気まぐれ。
だったはずだ。


1時間もすれば、私はコントローラーを握り
画面の前でボーっと成り行きを見ていた。

活気付いた街には多くの狩人達で
一種異様な雰囲気を帯びていたが、
それも私には無縁なものであった。
大きな声で、目当てのクエストへの
参加を募っている狩人。
自分の装備と腕を披露しようと意気込む狩人。
その内にある、虚栄心と物欲と何かわからぬ
ドロドロしたものを抑えているが、どうにもギラついた
その気持ちだけは抑えきれていないように見えた。

5年もネットゲームに浸っていて
今更、新規ゲームに参加するのも
なんだか違和感でイッパイだったが
そんなものは、クエストをこなすうちに
掻き消されてしまい、気づけばWMを買いに
コンビニへ走っている私がそこに居た。

大型モンスターとの手に汗握る死闘。
武器による直接攻撃で、伝わる振動、
明らかに手ごたえがあった。
まるで、自分の手に握られた武器が
あたかも、人智を超えた生物を怯ませ切り刻み
そして、息絶えるまでの全てが新鮮だった。

あらゆるモンスターを狩り付くし
次から次へ実装される装備を作り
そして、あらゆる局面で仲間を募り
私たちは、何よりも狩りに没頭していった。

紆余曲折を経て
前作を一切プレイしたことのない私も
いつしかベテランと呼ばれるようになっていた。
装備がどうだ、腕がどうだ、そんなことを言いながら
競い合い、語り合い、時に詰り合いながらも
それは楽しい一時を齎してくれる、さながら
ココに実在する生きた人として生活を送る
そんな錯覚さえおこしそうだった。
生き死にを擬似化し、必死に目的のために
邁進する日々・・・充実感もあったはずだ。

あれから1年。
我々が生きるべき道は別つ時がくるものだ。
それは、どの世界に於いても附いて回る
彼らは一人、また一人と去っていった。
人とは飽きる生き物である。
飽きるがゆえに、さらなる向上を目指し
退屈という魔性から逃れようとするのだ。
それを止める権利は誰にもない。
個人の欲するものが変質してしまえば、何も残さない。
たしかに私たちの中にあった何か、それを簡単に
失ってしまうのである。

そして、
また一人、親しくしていた彼が逝く。
最後の狩りは二人でいこうと決めていた。
初めて行った、密林レイア。

彼はベースキャンプでおもむろに釣りを始める。
私も黙って彼の横に立ち、ゆっくりと竿を垂らす。

楽しかったなぁ・・・

そうだねぇ・・・

餌を取られても、一向に気にせず
ただただ水面を眺めている。
結局、釣果があがらないまま、互いに餌が尽きるまで
ただそうして過ごした。

行くか・・・。

・・・・うん。


彼は強走薬グレートを一気に飲み干し
背中を向けて走り出した。
私もそれに続いた。

彼の背中は多くを語っていたが
応えることはできなかった。

辞めたくない。
辞めないと。
行きたくない。
行かないと。

ありがとう。

私は彼の背中に聞こえないように言った。




いじょ。